20230810

「ドッグーム」と言いたい

もうこれはどうにもなんないなーーーーーーという案件ですっかり心折れてしまったところでお盆休みに突入することになった2023summer*1

あんまり心折れることがないタチなので、この機会に心折れるときの音は何が適切か、ということについて考え始めた。

一般的には骨折に相当する「ポキッ」が用いられる*2。ややヘビーめになると「ボキッ」などの痛そうなやつも。しかしこれらの擬音を使うとなると、心というものがそこそこ剛性の高いものという印象を受ける。ていうかポキッて骨以外に使う?ポッキーくらいじゃない?

そんなに剛直な心だという気はしていないので、柔軟性のあるものを選びたい。やわらかいものだと「へにょり」「ふにゃん」などが挙げられる。実際問題折れ方のイメージはこのへんが妥当だとは思うのだけど、鼻息荒くスクワットして日々過ごしてる人が「心がふにゃんて折れちゃったの…」みたいな顔してるのもいかがなものか。

さて。

好きな擬音は?と聞かれたら「ドッグームですね」と答える用意は常にしている*3。これは何かというと、数多ある野球漫画の中でも特に過激な「侍ジャイアンツ」の中で、打球を外野手が蹴り飛ばして内野へ返球するときの擬音。

想像できるだろうか?硬式野球のボールをえいやっと蹴飛ばすときの音が「ドッグーム」である。カタカナの数なんてたかが知れていて、順列組み合わせで言えば「ドッグーム」と口に出したり書いたりする可能性は十分にあるのだけれど、まず「ドッグーム」に考えの至る動線が想像できない。

とはいえたしかに、凄まじい速度で飛んできた打球がスパイクの裏に当たりへしゃげるあたりは「ドッ」であり、外野方向へのエネルギーを反転させ内野へ高速返球するそのダイナミズムはまさに「グーム」である。めちゃくちゃだなと思いつつも、誰も使っていないカタカナの組み合わせで「飛んできた打球をスパイクで蹴り飛ばして内野へ返球する時専用の擬音」を作り出すセンスには脱帽する。

単一の用途だけのために「ドッグーム」を眠らせておくのはもったいないのでいつか使いたいのだけれど、心が折れる音に「ドッグーム」はふさわしくない。屈強な巨漢が素手で鉄製の心をねじ曲げるくらいのシチュエーションなら使ってもいいだろうか。

余談だが、侍ジャイアンツの主人公の名前は番場 蛮(ばんば ばん)。劇中の重要なシーンの擬音としてたびたび「バンバ・バーン!」が使われるところこそ作者のセンスの真骨頂であることを記して今日は筆を置くことにする。


*1 s/sはspring / summerだということを最近知りました。Soprano Saxではない。
*2 派生して「ポッキリ」「ポキリ」なども。
*3 聞かれたことはない。

コメントする