20240201

Never let me go

読みそびれ活字量が飽和したので*1、図書館で目についたものから手に取って読んでいくことにした。

“Never let me go”=「わたしを離さないで」の訳のよさが気になっていたのと、キースジャレッターとしては読んでおかなくてはならない気がしていたのとで読み始めたカズオ・イシグロ。

徹頭徹尾鈍色の風景と救いのなさがなかなかのもので、一気に読んでしまった。本題は置いておくとして、印象的だったのは話が動く場面でたびたび登場するドライブシーン。

車というのは、ひととき社会から離れて物事を整理したり清算したりするのに役立つ。乗員がひとりでも、誰かと一緒でも。職業上の理由からずっと車には乗っているわけだけど、話の本筋の副音声でその効用を感じながら読み進め、最後は主人公と一緒に突き放されて*2、そのやりきれなさにまたハンドルを握りたくなるのである*3

キースの演奏しか聴いてなかった。名演多し。


*1 飽和水蒸気量的な。
*2 それがあまりにも淡々としていて、書題”Never let me go”が遠くに横たわっているのを知りながら読み進めることの後味…
*3 煮物しながら読んでたから握らなかった。

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